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第一回
2008年 2007年 2006年


特集/[にいがた花物語]
花人会議08年キックオフミーティング 花愛でる心育もう

 四季折々に街や野山を彩る県内の豊かな花々を観光やまちづくりの資源として生かそうと、新潟日報社や県観光協会などが取り組んでいるキャンペーン「にいがた花物語」。二〇〇八年の取り組みの第一弾を飾る「新潟花人(はなびと)会議キックオフミーティング」が八日、新潟市の新潟市民プラザで開かれた。三年目を迎える今年のテーマは「新潟の花を育(はぐく)もう」。会場には花を愛する大勢の花人が集い、樹木医であしかがフラワーパーク(栃木県)園長の塚本こなみさんの記念講演やパネルディスカッションに耳を傾けた。

◇パネリスト
四柳長市さん  県花木振興協議会会長
大原久治さん  雪国植物園園長
斉藤健一郎さん 糸魚川市早川観光協会役員
甲斐逸枝さん  佐渡・花の島プロジェクト実行委員会副会長
◇コーディネーター
渡辺英美子   新潟日報社情報文化部長

四柳さん 生産者から企画発信
大原さん 保全通じ地域に輝き
斉藤さん フジ回廊実現へ活動
甲斐さん 自生種豊か島の財産

会場
 【写真1】各地で広がる「花育」の取り組みや、花を生かしたまちづくりへの可能性について語り合ったパネルディスカッション=8日、新潟市の新潟市民プラザ


「花育と地域づくり」をテーマにしたパネルディスカッションでは、花を生かした地域づくりに取り組む県内四団体の代表らが、それぞれの活動を紹介しながら今後の方向性を探った。
 ー花に触れることで感性を育む「花育」が提唱されている。花が持つ役割を考えたい。まずは普段の活動の紹介を。
 四柳 生産者が抱える一番の問題は、後継難と若年層の消費離れ。若い人が花に親しむ機会があればと、「食育」の話から「花育」に思い至った。一つの実践として幼稚園児に自分で絵を描いたプランターにチューリップなどを植えてもらった。花を眺めるだけでなく、参加することで、咲くまでの変化を楽しめる。
 大原 雪国植物園(長岡市)は、まず「主役は自然。人間は脇役になろう」と理念を掲げ、里山の自然生態系の保全や、子どもの情操教育の場づくりなどを通し、結果として地域の活性化につながればと目的を定めた。土地は市に用意してもらい、ボランティアの協力を得て一九八七年秋に始動。本来あるべき生態系を個性として大切にしている。
楽しく「花育」
 【写真2】<楽しく「花育」> 県花木振興協議会が進める「花育」の実践。幼稚園児らが楽しくチューリップなどの球根を植え付けた=2007年11月、新潟市秋葉区の小須戸幼稚園


 斉藤五月上ー中旬に、地域の県道に住民が育てた百二十鉢ほどのフジを並べている。鉢植えのフジの展示は全国でも珍しい。近くの月不見の池は自生のフジの名所だが、以前の大雪で数が減った。これまで百五十本の苗木を植えた。昔のにぎわいに戻したい。
 甲斐佐渡を花いっぱいにして観光客に楽しんでもらおうと「花の島プロジェクト」に取り組んでいる。力を入れているのはトビシマカンゾウの保護。また佐渡は竹の島でもある。二〇〇九年の国体などイベントを機会に、島内を竹と花で飾ろうと呼び掛けている。
 ーそれぞれの立場や経験から、今後考えられる「花育」の取り組みは。
 甲斐佐渡の植物学者の伊藤邦男先生は、佐渡を「花が暦をめくる島」とおっしゃった。島内には千七百種類もの花がある。それを大切に生かすことが花育。もう一つは生活に密着した花を愛(め)でること。魚を呼び込む花、春を告げる花など、島では生活の中に花が生きている。花育は生活そのものだ。
 斉藤今、フジの回廊を作ろうと考えている。五百本の苗木を買って、大規模なものにしようという話もある。この活動に子どもたちにも参加してもらい、大きくなった時に感動を与えたい。
 大原来園する子どもたちは自然に触れることに興味を示す。例えばコトジソウの花弁に手をやって、おしべが二本出てくる様子を見せると目を輝かせる。知ること自体が財産。自然を守るだけでなく、人間とのかかわりを伝える役割も園は担っている。
 四柳地域にある花の即売所を結んで花を植える構想があった。予算が足りなかったが、集落の道だけでもと、花を植えている。産地とのかかわりも意識してサツキの親子盆栽教室もやってみたい。行政にもう少し予算をつけてほしい。
 ー今後、花をキーワードにした地域振興や観光振興には何が必要か。
 斉藤地域を外からの視点で見ること。私たちの地区でも地域の山や海などを観光客の目で見て回ったところ、ここにトイレが欲しいなどいろいろな案が出た。今後のまちおこしにつなげたい。
 甲斐理念や将来構想を最初にしっかり持つことが大切。私たちはまずは何をしたいか島民に知ってもらおうと、グランドデザインを作り、チラシで全員に配布した。七、八年たち活動の見直しも必要になってきたが、グランドデザインだけは基になる教科書だ。
 四柳これまで生産者は黒子的な存在だったが、作るだけでなく新潟のブランドをもっと売らなければという意識に変わってきた。県外の生産地と連携して花木サミットもやってみたい。
 大原継続性とネットワークが大切。今、雪割草を植えて管理している地域の三施設が連携して雪割草街道をつくり、一緒に宣伝している。オオヤマザクラを植えて桜街道も仕掛けている。

<花育> 学校や家庭、地域などで、花や緑に親しむ機会を通してその美しさや生命力に触れることで豊かな感性を育てようという取り組み。食の大切さや食文化を教える「食育」にならって農林水産省などが提唱している。
四柳長市さん
 【写真3】四柳長市さん
大原久治さん
 【写真4】大原久治さん
斉藤健一郎さん
 【写真5】斉藤健一郎さん
甲斐逸枝さん
 【写真6】甲斐逸枝さん

記念講演 あしかがフラワーパーク園長・塚本こなみさん
塚本こなみさん
 【写真7】塚本こなみさん

 子どもの感性に驚き 美しい地球ぜひ次世代へ

私が花や緑とかかわって三十五年ほどになった。この間、一番大きな出来事は、あしかがフラワーパークにある幹周り四メートル十五センチ、約三百坪の藤棚が広がる大フジとの出合いだった。  あるとき、車いすに乗った婦人が大フジの前で涙をぼろぼろ流していた。「いかがですか」と尋ねると、婦人は「フジが両手を広げて『ようこそ』と迎えてくれているようだ」と感激し、「車いす生活になって七、八年になりますが、私もフジに負けないようにリハビリを頑張ります」と力強く話していた。  フラワーパークには、このような話がたくさんある。花や緑の力は本当にすごいなと思う。  子どもたちの植物への感性にも驚く。NHKのテレビ番組「ようこそ先輩」で六年生を対象に授業を行い、「木をよく観察して友達になろう」という課題を出した。  観察ノートには当初、子どもが木に「寒くないか」などと声を掛けても「返事がない」と書かれていた。しかし、二十日ほどたつと、同じ問い掛けに「『大丈夫だよ』と聞こえたような気がする」と変化し、最後は木に対して「ぼくの悩みを聞いてくれてありがとう」と記されていた。子どもたちは、私の予想をはるかに超えて木を観察し、友達になっていた。  子どもたちに木や自然の大切さを伝えるため、「農役(のうえき)」や「山役(やまえき)」を考える時代に来たのではないかと感じている。学業を終え、社会に出る前の一、二年間、農業や林業に従事する。「食」を考える意味でも貴重な体験になるし、農業の担い手が増えれば食料自給率の向上にもつながる。  フジでまちおこしをしようと活動をしている、あるおかみさんの会を紹介したい。「次の世代のためにフジを植えたい」ということで、私に相談があった。会員は五、六十代が中心で「皆さんが元気なうちに、花を咲かせてあげられないかもしれませんよ」と言ったら、「いいですよ。私たちは五十年、百年前の人たちが植えてくれたものを見せてもらっているのですから」と答えられた。  美しい花と緑は、このように継承されていくものだと感じた。私たちは花や緑を守りながら、時に守られている。地球にも、私たちと同じ命がある。いまを生きる大人として、次世代の子や孫に美しい地球を渡したいと切に願っている。 <つかもと・こなみ> 静岡県生まれ。女性初の樹木医。あしかがフラワーパークの大フジの移植を手掛け、1999年に同パーク園長に就任。2001年から新潟県文化財保護審議会委員。05年には安了寺(燕市)の白フジの再生を指導した。

世話人が報告 県民の関心広がり実感
新潟花人会議の世話人を代表し、県観光協会の吉田雄一・旅行開発課長が二〇〇七年の活動報告と〇八年の活動方針を説明した。  〇七年は新発田市の「あやめまつり」や上越市の「はすまつり」に併せて「花人会議」を開催。ホームページを活用した花場情報の収集、発信に加え、県内の花場を回るモニターツアーも実施し、多くの市民や旅行業者が参加した。  吉田課長は「このほど雪割草が新たに県の草花に指定されるなど、県民の花を愛する心の高まりに大いに寄与できた」と総括した。  〇八年は花人に登録している全員で「花を大切にして育てていく心」を発信していく。〇七年は夏以降の活動がやや低迷したこともあり、吉田課長は「ハス、ヒマワリ、コスモス、キクなど夏以降の花の紹介にも力を入れたい」と述べた。

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