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特集/[にいがた花物語
18日、新潟市の朱鷺メッセの様子 「花人会議」キックオフミーティング 新潟で開催 県内各地の愛好家報告 自然の美が癒やし励ます

 花は命の象徴であり、人の心を癒やし、励ます力を持つ。新潟は多彩な花に彩られる「花の国」でもある。その魅力をつなぎ合わせ、復興や地域づくり、交流人口拡大に生かそうという県民キャンペーン「にいがた花物語」の推進組織「新潟花人会議」(世話人・県観光協会、新潟観光コンベンション協会、長岡観光コンベンション協会、上越観光コンベンション協会、佐渡観光協会、新潟日報社)が発足。そのキックオフミーティングが18日、新潟市の朱鷺メッセで開かれた。ミーティングには花を愛する大勢の「花人」たちが集い、県内各地での活動報告に耳を傾け、これからの取り組みへ交流を深めた。

<雪国植物園 大原久治氏> 次の世代へ里山残す
<実行委員長 小柳行弘氏> 「花絵作り」輪広がる
<村上「育む会」 山口治雄氏> セナミスミレが危機
<上越・正善寺 深川春治氏> アジサイぜひ一見を

 活動報告では各地の団体の代表が、取り組みや花に対する思いを語った。長岡市の雪国植物園の大原久治園長はビデオを通して報告。今年10周年を迎える同植物園は、延べ1万人を超えるボランティアが20年かけて荒れた里山に手を入れ、今の形になった。「次の世代に伝えられる、当たり前の風景にしたい」と日本海側の里山の姿を残すことにこだわり、高山植物や外来種は入れていない。

 「人間も生物の一員。仲間である自然に優しく接していけば応えてくれる。花は癒やしだし、観光にもなる。派手な花でなくても、花は中心になれる力を持っている」と力を込めた。

 にいがた花絵プロジェクト実行委員長の小柳行弘さん=新潟市=は、一般の人や子供たちに実際に花を摘んでもらい、摘んだ花を飾るという13年にわたる取り組みを紹介した。

 今では県外から参加する人も増え、花絵作りの輪が広がっているという。生産者との交流も生まれた。小柳さんは「花を摘んで飾るだけでなく、花のある場所で遊んだり、交流する『チューリップコミュニケーション』を目指したい。ぜひ一緒に花を摘みましょう」と呼び掛けた。

 村上市の「セナミスミレを育(はぐく)む会」事務局長の山口治雄さんは瀬波海岸の浸食や乱採取により、絶滅の危機にあるセナミスミレの現状と活動の様子を紹介した。同会の会員は58人。知識を深めるだけではなく、自然観察を通して感性を育むことに力点を置いている。

 「セナミスミレは地域の宝。その保護を通して地域も人も変わった。人が花を育て、花が人を育てる」と語り掛けた。

 上越市の「正善寺あじさい会」代表の深川春治さんは正善寺ダム周辺のアジサイの整備活動について報告。地域の若者の交流を目指してダム周辺のごみ回収から始まった活動は周囲に植えられた4000−5000本のアジサイの手入れにつながった。

 管理だけでなく、数年前からライトアップを始めたところ、多くの人が訪れるようになった。「上越は高田の桜が有名だが、夜のアジサイも風情があると思う。ぜひ、足を運んでみてください」と話した。

   ×   ×

 その後、会場の参加者らが自分の見つけた花場を紹介したり、花を守る活動を発表したりと活発に意見交換を行った。

 西蒲原の水田地帯の一角に広がるハマダイコンの群生地を紹介した女性は「行ったときはちょうど花の盛り。とてもきれいなのに誰もいなかった。なんでみんな知らないんだろうと不思議に思った」と話した。

 ヒメサユリの群生地の復元に取り組んでいるという新発田市の男性は「少しずつだが自生を始めた。これからも活動を続けていきたい」と決意を語った。

 新潟市の女性からは「花をただ楽しむだけでなく、子供たちの感性をはぐくむことにも活用するべきだ。休耕田にレンゲを植えて子供たちを遊ばせたりできるのでは」との声が上がった。

【カラー写真】多くの市民が出席し、「花場」の守り方、育て方、楽しみ方を話し合った花人会議=18日、新潟市の朱鷺メッセ

◎<あいさつ> 優しい力が花にはある 世話人代表・新潟日報社社長 星野元

 水害、地震、豪雪と災難が続き、多くの県民が傷ついた。そんな中、昨年は神戸から贈られたヒマワリが被災地の人々に勇気と希望を与えた。花には優しい力がある。花場、花人を増やすことで多くの人が優しさを持ち、交流を深める運動になってほしい。

◎<あいさつ> 訪れる人に感動与える 県観光協会会長 磯部春昭

 震災では大きな犠牲が出たなか、棚田や里山が持つ自然の美しさにあらためて多くの人が気付かされた。被災地は立ち上がりつつある。人と花の結び付きは、新潟を訪れる人に癒やしと感動を与えることになる。それぞれの地域で花物語を展開し、広げたい。

◎<取り組み方針> 極めて多様で豊かな世界 地域づくりの資源

 「にいがた花物語」キャンペーンと、その推進組織「花人会議」の取り組みや、今後の展開について県観光協会の山田治之課長と新潟日報社企画推進部、樋熊明部長がそれぞれ説明した。

 山田課長はまず、新潟には雪割草など野に咲く花だけでなく、チューリップやユリなど花卉(かき)産業としての花、キクやソバなど食と結びついた花など、極めて多様で豊かな花の世界があると指摘。

 その花素材を観光だけでなく、地域づくりの資源としても生かしていく作業が「花物語」であり、単に美しいものを見せるだけでなく、人と人、地域と地域、多彩な業種の連携によって物語を紡ぎ、感動を生み出していくことが大切だと説明した。

 昨年末には県内各地で素材発見のミーティングを行い、多様な花の魅力がリストアップされたものの、情報発信や現場へ赴くための交通手段の整備、他地域との連携など、観光面からは課題が多いとも指摘。

 「花人会議」に、花を育てる人、魅力を伝える人、楽しむ人々が集い、ネットワークを作り上げながら、そうした課題も克服し、多様な楽しみ方を提案していきたいと抱負を語った。

 これを受け、新潟日報社の樋熊部長は、花と人とが出会う場所が「花場」であり、県民からの推薦で、魅力ある新たな花場を掘り起こし、それらをつなぐ「新潟花回廊」を形成したいと今後の活動方針を説明。

 当面、県民による花人への登録活動と登録された花人への各種情報提供。

「新潟花場200選」の選定。俳句や短歌、絵や写真など花場で生まれたアートの募集や紹介などに取り組むとした。

 同部長は「新潟がだれからも花の国と呼ばれるには10年、20年と掛かるかもしれないが、高い志のもと息の長い運動として取り組み、笑顔と交流の絶えない地域を目指す。多くの県民の参加を願っている」と呼びかけた。

 さっそくこの日の参加者60人余りが花人として登録。登録用紙には多くの花場の情報も添えられ、花人会議の活動はその一歩を踏み出した。

18日、新潟市の朱鷺メッセの様子 ◎絵本作家・永田萠さん講演 人の思い伝えたい

 作品を作るときは、花を育てるような気持ちで描く。制作中はこんなにも美しい花を無から作り出す自然の力に厳粛な気持ちになり、そのときだけは神様がいると思ってしまう。本物を超える絵はこれまで一枚も描けていない。人の手が届かない尊敬の念、畏敬(いけい)の念を抱かせる花。人が花を愛するのは、そんな姿に強く引かれるからなのかもしれない。

 花から感じた思いや感動を胸の中で温め、花が持つ心や風情を表現したいから、実物を見た花しか描かない。赤いバラからは情熱のような激しい感情を、白いマーガレットからは初恋のような優しい感情など、人は花によって異なる思いを抱く。その思いを伝えたい。花の感情を大事にし、それを形にするのが私の絵だと思っている。

 私の花好きのルーツは幼いころから花壇の手入れを一緒にした亡き母にある。

 最も印象に残っているのは「本当に花が好きな人は芽が出たときから枯れるときまで、花の一生をいつも美しいと思う人でなければならない」という言葉。普通の人はきれいに咲いた花を見るだけ。でも、母は小さな芽が出たときから何の花かすぐに分かった。たとえ、枯れて散ってしまっても同じ。母は西洋で「緑の指を持つ人」と呼ばれるような、花と対話ができる名人だった。

 母が教えてくれた「花の一生に愛情を注ぐ」という言葉が私の心に生きている。花は季節が終わると枯れてしまうが、人が花から受け取ったメッセージは何年たっても変わらず、人を支え、励まし、勇気づけてくれる。今も母が好きだった花を描いていると、母と話をしている気になる。

 その場に行かなければ出会えない花、人がある。今日の花人会議で皆さんと出会い、私の心にも皆さんの心にも花に対する新たな思いの種が植えられたことと思う。

【カラー顔写真】<永田萠さん> 兵庫県加西市生まれ。絵本作家・イラストレーター。「花と妖精」をテーマにした作品を描き続け、豊かな色彩感覚と描画技術は「カラーインクの魔術師」と呼ばれる。代表作は「花待月」など多数。

2006年03月27日
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