新潟を彩る多様な花の魅力を掘り起こし、花を慈しみ、楽しむ人々の輪を広げることで地域の活性化を図ろうというキャンペーン「にいがた花物語」の一環として第2回の「新潟花人会議」がこのほど、長岡市寺島の「ハイブ長岡」で開かれた。今回の会議のテーマは「花の力」。災害からの復興や地域づくりに、花を通してかかわる人たちがそれぞれの取り組みを報告。花がつなぐ人の輪が地域を元気づけている姿に、参加者も心を動かされていた。
会議では、県内4地域で花に関連した活動に取り組んでいる団体の代表が現状を報告した。心を和ます花の力を震災被災地の復興に生かそうという事例や、地元の貴重な素材を再認識した事例などが紹介された。
【カラー写真】「花の力」をテーマに活動報告などが行われた第2回「新潟花人会議」=5月28日、長岡市ハイブ長岡
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◎<山古志>群生のキスミレ 復興シンボルに
震災の被災地である旧山古志村からは、地震で姿を消したオオバキスミレの群生復活への取り組みを、仮設住宅に暮らす被災者であり、長岡市職員として地域の魅力発信に携わる五十嵐豊さんが報告した。
毎年、山古志の棚田のあぜに春の訪れを告げてきたオオバキスミレは、全国的にも数少ない群生地でありながら、地元住民には貴重だという認識がなかったという。五十嵐さんは、「特にスミレは地域の環境によって特色が異なり、山古志にあるキスミレは地域そのものの象徴だった。(震災で地域を離れた)人が帰るだけでなく、花が帰ることで以前の山古志を取り戻したい」と活動に着手した思いを語った。
キスミレは今がちょうど満開の時期。今後、種を集め、復旧したあぜに少しずつスミレを復活させていこうと、地域に呼び掛けている。
「人も花もその地で育ってきた。復興を進める中で、花を楽しむことが大きな力になる。来年に向けての一歩を踏み出したい」と意欲を語った。
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【カラー写真】震災の年の春4月、旧山古志村金倉山で咲き誇ったオオバキスミレ。群落はあぜとともに崩れ落ち壊滅状態となった。今年、復活への取り組みが、始まろうとしている
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◎<小千谷の放棄地菜の花栽培>地球へ優しく美しく
NPO法人スローライフ小千谷代表の長谷川均さんは、震災後増えている耕作放棄地での活動を紹介した。
もともとは里山整備や都市と農村間の交流を目指して7年前に発足した団体だが、中越地震を機に、住居や田畑の復旧、被災者の心のケアなどの活動に取り組もうとNPO法人化。現在、20人ほどで、小千谷市南部を中心に耕作放棄地を耕して無農薬での農作物や花作りに取り組んでいる。
特に力を入れている菜の花栽培は、観賞用としてだけでなく、油として食用に、カスは肥料に、さらに廃油は燃料にと、地域で循環させることも目指す。
「今年ようやく油を取るところまできた。この先、福祉バスやトラクターの燃料として使えるようにしたい」と長谷川さんは期待している。
◎<上越・桜保護>高田公園を自分の庭に
上越市からは、エコ・グリーン代表の青木ユキ子さんが、高田公園の桜の保護活動を紹介した。毎春大勢の観光客を呼ぶ高田公園の桜だが、実は病害虫で衰弱しているのが実態。会では枝の傷口や根の保護のほか、観察会など市民参加の催しにも力を入れている。
青木さんは「桜は毎春咲くのが当たり前になっていて地域の関心は薄いが、ちょっとした活動に参加することで自分の庭の木のように心配になる。関心を集めることが、まちづくりの原点」と語った。
現場報告の後、会場を交えての意見交換が行われた。基調講演を行った荒井さんは、報告を受けて「人と人をつなぐツールが花だという気がした」と感想を語った。来場者からは、上越市のエコ・グリーンの取り組みについて「まったく知らなかった。来年は別の目で桜を見たい」という声などが聞かれた。
◎<小国>山野草で魅力発信
旧小国町の小国山野草会からは、相波葉子代表をはじめ4人が参加し、各自が育てている鉢植えの山野草を会場に並べて紹介しながら、活動を説明した。
同会では鉢植えを持ち寄って年に数回の山野草展を開いている。同じ会場内で朗読会や作品展など多彩なイベントも開催して、小国の魅力を地域内外に発信している。この春は「もてなしの里おぐに」と題して、郷土料理を持ち寄って来場者に振る舞った。
相羽さんは「地域の魅力を知ってもらうのはうれしい」と活動の成果を喜びながら、「知名度が上がることで貴重な山野草の盗掘が増える心配もある」と、もどかしさも訴えた。
◎<テーマごとに課外活動>「詠む」「撮る」「歩く」「描く」
「にいがた花物語」キャンペーンでは県観光協会などが中心になって「大人の課外授業」も展開している。花を花として鑑賞するだけでなく、「詠む」「撮る」「歩く」「描く」のテーマごとに、俳句、絵画などその道の達人をゲストに迎えて、多彩な花の楽しみ方を知ってもらおうというもの。
3月に長岡市で、絵手紙作家・田口孝夫さんによる絵手紙教室を開催したのを皮切りに、4月には俳人・黛まどかさんを招いて、上越市高田での夜桜句会を。5月は写真家・青柳健二さんによる里山写真教室を十日町市で、今月に入って4日にはエッセイスト・山村レイ子さんを招き、佐渡で花の島トレッキングを行った。
24日には、新発田市五十公野公園のあやめ園などを会場に、女優で画家の城戸真亜子さんとスケッチを楽しむ。定員40人。申し込み、問い合わせは、県観光協会、025(283)1188。
◎花人登録400人超す
県民キャンペーン「にいがた花物語」の推進組織である「新潟花人会議」(世話人=県観光協会、新潟・長岡・上越の各観光コンベンション協会、佐渡観光協会、新潟日報社)は、去る3月18日にキックオフミーティングを開き活動を開始した。
絵本作家の永田萠さんの記念講演をはじめ、花を愛する「花人」たちが県内各地から集い、それぞれの活動報告をし、交流を深めたミーティング後、ホームページを開設し、花人会議関係団体の情報、新潟日報紙上で掲載された花に関するニュース、県内各地の花情報を常時紹介。また「花人」への登録も呼び掛けており、6月現在、花人は400人を超している。今後の「花人会議」は、7月に佐渡で、10月に上越での開催予定。
花人会議のホームページアドレスはhttp://www.niigata-hanabitokaigi.com/
◎<基調講演>神戸から中越へ 「ひまわりの夢」語る 荒井勣(いさお)さん・NPO法人代表 大輪に思い託して 被災地への種まき続く
阪神大震災での被災者、ボランティアとしての経験を生かし、中越震災の被災地にヒマワリの輪を広げる活動に取り組んでいるNPO法人「ひまわりの夢企画」代表・荒井勣さんが基調講演で復興への思いなどを語った。
青少年の健全育成に携わっていたころ、良い子を育てるには地域を耕すことが大切だと思った。耕すための「鍬(くわ)」に、1輪でも目立つし、たくさんならもっと目立って明るい街づくりになるヒマワリを選んだ。
その活動をしていた1995年に阪神大震災が起こった。震災後から水配りやお風呂の巡回ボランティアを始め、その時に「兄ちゃん、ありがとう」と言われたのが、ボランティアにはまった瞬間だった。
また、がれきの街をヒマワリでいっぱいにしたいとドラム缶三杯半分の種をみんなに配り、神戸のあちこちでヒマワリが植えられるようになった。
ボランティアは頼まれてしているわけではなく、結果として喜ばれればボランティア、嫌われればだたのおせっかい。良いボランティアかどうかは受けた人の判断だと思う。
阪神から10年経って中越地震が起きた。いてもたってもいられず、神戸の人に呼び掛けて集めた茶わんを配って回った。神戸からヒマワリバスを運行して開いた植栽イベントでは、越後丘陵公園で地元の中学生たちと神戸のヒマワリの種をまいた。
ヒマワリの花いっぱい運動を通して人間を育てることをやっている。今の夢は山古志にヒマワリをいっぱい咲かせること。それが終わるまで通い続けたい。
【顔写真】荒井勣さん