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特集/[にいがた花物語
新潟花人会議佐渡で第3回会合 先進地に学ぶ魅力の育て方

 新潟の多彩な花の魅力をはぐくみ、地域づくりに生かそうと新潟日報社、県観光協会などが世話人となって開催している「新潟花人会議」の第3回会合がこのほど、佐渡市(旧小木)の「マリンプラザ小木」で開かれた。佐渡は官民挙げた「花の島プロジェクト」に取り組む、花を通じた地域づくりの先進地。カンゾウ復活や、休耕田の活用など多彩な取り組みが紹介されたほか、次回の同会議開催予定地上越市からも報告が行われた。会場からも、今後の活動へ向けての声が次々と上がり、花を慈しむ「花人」の交流が深められた。

北沢博満さん
【カラー顔写真】北沢博満さん
細野幸太郎さん
【カラー顔写真】細野幸太郎さん
大嶋喜久雄さん
【カラー顔写真】大嶋喜久雄さん
<現場報告>
 北沢博満さん(海府観光協会会長)
 細野幸太郎さん(栗野江蓮池の会代表)
 大嶋喜久雄さん(「城下町高田花ロード」実行委員長)

自然の教えかみしめて・北沢さん
マンパワー確保も課題・細野さん
テーマ設けて盛り上げ・大嶋さん

会場を埋めた60人余りの参加者はそれぞれの報告に熱心に耳を傾けた  「花の島プロジェクト」の活動から、大野亀で全国でも数少ない「トビシマカンゾウ」群生地の復活に取り組む海府観光協会の北沢博満さんと、畑野地区で休耕田をハス池によみがえらせた栗野江蓮池の会の細野幸太郎さんが現場報告を行った。

 トビシマカンゾウの群生地は、厳しい季節風にさらされる自然条件と、牧畜など人々の営みとの「絶妙なバランス」がはぐくんできたという。

 「多くの汗によって守られてきた自然を残すために汗を流す」との信念のもと、地元の小中学生や島内外のボランティアとともに苗作りや草刈りに取り組み、5年前からは毎年1万本を定植。一時は30万本ほどに減った群生は最盛期の半分近い35万本を超えるまでに回復した。

 カンゾウの別名「ユ(ヨ)ウラメ」は「卵を抱いた魚」というアイヌ語に由来し、地元でも「磯漁の季節を告げる花」として島民の生活と深く結び付いていたという。

 北沢さんは自然と人の営みとのバランスが崩れたことから絶滅した日本のトキの姿と重ね合わせながら「彼らの無言の教えをかみしめたい」と力強く語った。

畑野地区長谷寺のボタンも佐渡を代表する花場の一つだ  細野さんたちの取り組みは減反や過疎・高齢化に伴い増加の一途をたどる耕作放棄地が舞台。荒れ果てた休耕田をハス池にすることで、「思わぬ副産物」と語るホタルのほか、メダカやドジョウなど多くの動物が集う水辺の生態系をよみがえらせた。

 一方で、池の環境を守るには人の手を加え続ける必要もあり、細野さんは「高齢化、人口減少で自分の家の小さな庭さえも除草剤を使いたくなる時代に、どうマンパワーを確保していくか」と課題を挙げた。

 上越市からは、今年8回目を迎える「城下町高田花ロード」の取り組みを実行委員長の大嶋喜久雄さんが報告した。

 同市出身のアートディレクター北川フラムさんの「街全体をギャラリーに」という提案でスタートし、期間中は数万人が訪れる名物イベントとして定着している。

 マンネリ化を避けるため近年では毎回テーマを設定。市町村合併の際は、一体感を盛り上げようと旧市町村の花を集めた。「展示を通して『みんなの上越市』を確認できた」と大嶋さん。中心市街地のにぎわいを取り戻そうと始まった活動は新たな広がりも見せているという。

住民たちが力を合わせ自然豊かなハス池に作り変えた畑野地区の休耕田  会場を交えた意見交換では、「歴史や文化を紡ぐ意識でやっている」「さらなる意欲につながる市民共有の物語が必要」といった声が上がった。加藤洋会長は、「各地で誰かが年中きれいな花を咲かせるために頑張っている。行政とも協力してこれからも佐渡にしかない花、みんなが見に来る花を守り育てていきたい」と、決意を語っていた。

【カラー写真(上)】会場を埋めた60人余りの参加者はそれぞれの報告に熱心に耳を傾けた
【カラー写真(中)】畑野地区長谷寺のボタンも佐渡を代表する花場の一つだ
【カラー写真(下)】住民たちが力を合わせ自然豊かなハス池に作り変えた畑野地区の休耕田

◎しっとりと古刹に彩り 蓮華峰寺を参加者散策 アジサイ満開に

夏木立の中で咲く蓮華峰寺のアジサイ。会議を前に参加者は多彩な花模様を楽しんだ  この日の会議に先立ち参加者らはアジサイ寺とも呼ばれ、同市の花の名所として知られる蓮華峰寺を散策、青柳憲昇住職の講話に耳を傾けた。

 境内を彩る7000株のアジサイは、青柳住職が檀家(だんか)と共に「ここを花の浄土にしよう」と、1972年から10年間かけて定植、丹精してきた。

 「最初はサツキやツツジを植えたが株が大きくならず、選んだのがアジサイだった」と青柳住職。当初はヤマアジサイとガクアジサイだけだったが、それぞれを交配するなどして現在は14種類が梅雨を迎えるころ、競うように咲き誇る。毎年7月下旬に花を切り、暮れから春にかけて施肥。施肥の後にミョウバンをまくと「花につやが出る」という。

 訪れた日はまさに満開。参加者らは弘法大師建立と伝えられる古刹(こさつ)と、あでやかなアシサイが醸すしっとりとした風情を堪能していた。

【カラー写真】夏木立の中で咲く蓮華峰寺のアジサイ。会議を前に参加者は多彩な花模様を楽しんだ

◎植物の「寒暖境界」・佐渡 1700品種が分布 緑化運動も活発

佐渡を象徴する花の一つカンゾウ。大野亀周辺の群落は地域住民らの努力で、守られている  寒暖両系の植物の境界とされる北緯38度線が、島の中央を通過する佐渡。さらに寒暖おのおのの海流の影響を受け、北方と南方の植物1700種がともに分布する。花の種類も多く、四季折々の花を楽しむことができる佐渡は、まさに「花の島」である。

 そして、島には花の文化や伝承が生活の中に深く溶け込み、花にちなんだ活動や地域づくりに取り組む数多くの人がいる。

 金井地区を中心に活動する「金井生き活き塾」もその一つ。国道350号沿い、金井中学校そばの「花時計」を核に、地域全体を包み込む緑化運動を展開。花関連の多岐にわたるジャンルの催し「おらが群(むら)の花の文化展」を毎年開催するなど、将来に誇れる花の地域づくりを続けている。

 かつて「越の松原」「雪の高浜」と呼ばれた景勝地が、無残な姿になってしまった八幡地区。この失われた自然の再生と次の世代に夢と財産を受け継ぐための活動をしているのが「八幡・銀杏(いちょう)の会」だ。地区の沿道での約2000個のチューリップのプランター設置や、黒松と銀杏の植樹・管理、海岸清掃などを行っている。

 官民一体となって活動する団体、少人数ながらも地道な取り組みを続ける人たち…。花の島・佐渡は、「花人の島」でもある。

【カラー写真】佐渡を象徴する花の一つカンゾウ。大野亀周辺の群落は地域住民らの努力で、守られている

◎花を通じて連携を推進 新潟花人会議

 「新潟花人会議」は、花を愛し、慈しみ育て、「花場(花と人が出会う場所)」を守る「花人」たちが集い、お互いの情報交換をすることで、ネットワーク作りを推進する場として今春、活動を開始した。県内に散らばる新たな「花場」を掘り起こし、それらをつなげて「新潟花回廊」を作ることを目指している。

 今年3月、絵本作家の永田萠さんを招いて新潟市でキックオフミーティングを、5月には「全国花いっぱい大会」が開催中の長岡市で第2回の会合を行った。ホームページでは新潟日報紙上で掲載された花関連の記事や、県内各地の花や花場の情報を常時紹介している。

 第4回の花人会議は、「城下町高田花ロード」の開催に合わせ10月に上越市での実施を予定。ホームページのアドレスはhttp://www.niigata-hanabitokaigi.com/

◎基調報告 佐渡・花の島プロジェクト実行委員会会長・加藤洋さん 明るい話題提供したい

加藤洋さん  「花の島プロジェクト」は「美しい花の島・佐渡」を目指し、5年前から花による住民の交流や、住民と観光客の交流を促進、地域事業の創出と普及を目標に活動を始めた。花のデザイン指針を作り、全島が連携して花の島づくりを推進し、花で地域事業を興すことを目標に活動している。「明日にささやかな夢を持って今日を楽しみ、明るい話題を島の人たちに提供していきたい」というのが基本的な考え方だ。

 佐渡の花「トビシマカンゾウ」で有名な外海府地域では、地元の人たちの協力があったから、今の状態が出来上がった。他にも島内には、蓮華峰寺のアジサイや長谷寺のボタン、小木のアジサイロードなど多くの花の名所があるが、どれも地元の人たちの努力で支えられている。

 私たち実行委員会は、喜んで汗をかいて働いてくれる地域の人たちを応援し、多くの人に協力を呼び掛けていくことが仕事だと思っている。

 合併前は、各市町村単位で行政が中心となって活動してきた。これからは島全体で運動を盛り上げていくためにも、民間団体にも積極的に声を掛け、官民が一体となった活動をしていける態勢が求められている。何事もやる人がいなければ、実現はしない。地域で頑張る人たちが何をすれば喜んでくれるかを考えて、活動を続けていきたいと思っている。

【カラー写真】加藤洋さん

2006年07月11日
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